反跳膝(Back knee、またはextension thrust pattern)は臨床で多く見かけることが多い異常歩行ではないでしょうか。そこで今回はバックニーについて深く掘り下げていきます。
- Back knee:バックニーとは大腿骨の伸展と下腿の後傾が現象として起こります。つまり、股関節伸展膝関節伸展足関節底屈運動を伴うもの。そのため、その関節運動を引き起こす要因を考えると考えやすいと思います。
脳卒中片麻痺患者で多く遭遇する現象バックニー。
今回はバックニーの原因について仮説を挙げていきます。
バックニーは歩行周期によって原因が変わってくるため、どの相で膝伸展が生じるのか
特徴としては立脚初期(IC)に生じるバックニー、立脚中期以降に生じるバックニーと2種類見られる。
立脚初期にバックニーが生じる原因①
足関節背屈の筋力低下(随意性低下)
前脛骨筋は皮質脊髄路からの支配をより濃く受けているとの報告があります。
そのため皮質脊髄路の損傷によって、運動麻痺により背屈機能が低下することが多いと言われています。
前脛骨筋による遠心性収縮が困難になると足関節底屈し下腿を前方へ引っ張ることが困難となります。下腿が前傾困難となる+正常動作でいう股関節伸展による大腿骨の後退により相対的に膝関節が伸展してしまうことがバックニーの原因となります。
評価方法
①短下肢装具を使用しバックニーが軽減するかどうか
②ウォークエイドを使用しICで前脛骨筋の活動を促したときにバックニーが軽減するかどうか
立脚初期にバックニーが生じる原因②
膝関節伸展筋の筋力低下
正常歩行ではIC〜LRで膝関節軽度屈曲が生じるのは、歩行の衝撃吸収のために大腿四頭筋が遠心性収縮によってコントロールしています。しかし、筋力低下になると遠心性にコントロールができなくなってしまい膝折れを起こしてしまいます。
膝折れは歩行効率が良いとは言えないため、患者にとって効率的な歩行を模索した結果としてあらかじめ膝伸展位で固定することで安定するということを試行錯誤の中で辿り着いたのではないかと仮説を立てることができます。
膝伸展位でなぜ固定できるかというと、膝最終伸展によって外側・内側側副靭帯、前十字・後十字靭帯が伸展位で緊張させ、膝の静的安定性に関与するとされています。この静的安定性を利用して歩行の安定性を確保していると思われます。
歩行が安定するから良いのではないかと思う人もいるかもしれませんが、長期的にこの歩容を用いると靭帯が緩んでしまい、反跳膝のリスクが高まり膝痛の原因になるため可能な限りで改善する必要があると思います。
立脚初期にバックニーが生じる原因③
膝関節伸展筋の筋緊張亢進
立脚初期にバックニーが生じる原因④
股関節伸展筋(大殿筋、ハムストリングス)の筋力低下
現象:臀部後退に伴うバックニー
立脚初期にバックニーが生じる原因⑤
足関節底屈筋の痙縮(筋緊張の亢進)
立脚初期にバックニーが生じる原因⑥
感覚障害による体重移動の稚拙さ
参考書籍・論文
脳卒中片麻痺者に対する歩行リハビリテーション
英論文
はじまりのまち
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